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【圧力センサーベーシック #4:オールセンサーズのデュアルダイ補正技術】
 
この章では、オールセンサーズのMEMS半導体圧力センサーの基本的な設計思想や補正技術について述べています。

オールセンサーズのデュアルダイ補正技術

 オールセンサーズの補正技術の基本は、「デュアルダイ補正」という設計思想に基づいています。この補正技術はゲージ圧測定や差圧測定においてコモンモード(正負出力)の誤差が、従来の補正技術によっても補正出来ない時に適用され、特に非常に低圧なセンサーに採用されています。デュアルダイ補正には2つのタイプがあります。1つ目のタイプ(リファレンスデュアルダイ タイプ)は、2つの圧力センサーダイを結合させ、片方だけが圧力感度出力があるというものです。


1つのセンサーは受動的(passive)で、コモンモード誤差を補正する時にのみ使用されます。2つ目のタイプ(アクティブデュアル タイプ)は、2つの圧力センサーダイを結合させ、両方のセンサーに圧力感度出力があるというものです。(この補正技術は米特許6023978に記載されています)この補正技術は全てのコモンモード誤差の低減に応用され、出力オフセット電圧の長期ドリフトの補正ができる唯一の補正技術です。図1と2は、コモンモード誤差が従来の方法に比べ軽減できるデュアルダイ クロスカップリング(正負逆転構造)補正技術を示したものです。図3はコモンモード誤差が軽減できない従来のセンサー構造(シングルダイ)を示したものです。

リファレンスデュアルダイ- クロスカップリング技術を利用した補正技術:
図1は、リファレンスデュアルダイ補正に関して表したものです。これは、2つあるダイのうち片方を圧力感度出力のあるセンサーダイ(アクティブ ダイ)とし、このアクティブダイのコモンモード誤差を軽減するのために、もう片方をリファレンス(パッシブ ダイ)としています。この補正は、2つのダイからの電気的出力の相殺によってなされています。またできる限り正確な補正をするためにこの2つのダイは、同じウェーハーで隣接しているダイから選ばれています。


この補正方法は長期ドリフト、ウォームアップドリフト、温度オフセットドリフトに関連する誤差を補正します。この補正技術は、出力信号の強度低下がある程度許容でき、かつパッケージサイズに制限がある場合に、次のアクティブデュアルダイ補正の代わりに採用されています。一般的に最小圧力が1inchH2O以下の低圧でフルスケールでの測定が必要な場合などには、次のアクティブデュアルダイ補正がより適切な補正と言えるでしょう。

アクティブデュアルダイ-クロスカップリング技術を利用した補正技術:
 アクティブデュアルダイ補正は、前述のセンサーダイの電気的出力による補正と2つのセンサーダイからの圧力感度出力による補正との両方を持ち合わせています。この2つのクロスカップリング補正をおこなうことにより、出力信号強度は低下せずコモンモード誤差補正はより最適化されています。図2は、このクロスカップリング補正がどのようになされるかを示したものです。ゲージ圧測定においては、大気圧は1つの圧力センサーダイアフラムの1つの面に加えられますが、もう片方の圧力センサーダイアフラムには反対側に加えられています。測定される圧力も、大気圧が加わっていないそれぞれ逆のダイアフラムに加圧されています。差圧測定においては、大気圧が基準圧力(P2)となり、その差圧の値(⊿P1-P2)となります。ゲージ圧測定、差圧測定の両方においてクロスカップリングとなっています。

 アクティブデュアルダイ補正はリファレンスデュアルダイ構造で見られるようにコモンモード誤差を軽減するのに効果的なだけでなく、正負直線性も劇的に改善されます。これは、加えられる圧力がどのような場合でも、フロントサイドの圧力値と、もう片方のバックサイドの圧力値が等しくなり、また正負逆の圧力感度出力となるためです。コモンモード誤差の減少とフルスパン出力での正負直線性の改善によって、この構造により非常に低圧なセンシングが可能にとなり、より優れた補正方法となっています。

図1リファレンスダイを使用するリファレンスデュアルダイ-クロスカップリング補正技術
 
図2 アクティブデュアルダイ-クロスカップリング補正技術


 図3 一般的なシングルダイ構造の圧力センサー