圧力センサー ベーシック#3:MEMS半導体圧力センサーの直線性の評価】
 
 オールセンサーズの圧力センサーは、最先端のMEMS半導体製造技術により製造されています。オールセンサーズの圧力センサーは、一般的にピエゾ抵抗型半導体圧力センサーと言われるものです。この章では、オールセンサーズの半導体圧力センサーの基本的な設計思想やセンサーの出力特性を示す (非)直線性 について述べています。
(非)直線性は、センサーの精度に影響を与えるパラメーターの1つです。(その他の要因については「圧力センサーに関する精度と正確さの理解」を参照下さい)ユーザーは、圧力測定や(非)直線性の意味やニュアンスを理解する必要があります。
MEMS半導体圧力センサーに関する設計製造技術が精度に与える要素の内、ピエゾ抵抗型半導体圧力センサーの(非)直線性に影響を与える要因としては、ピエゾ抵抗素子の配置、ダイアフラムの厚さ、そしてMEMSの構造要素があります。一般的に、温度は高感度対応以外ではあまり大きく影響しません。結果として、センサーは周辺温度における(非)直線性のテストが行われます。
 (非)直線性を評価するのに重要な点は、それがどのように計算され評価されるかです。以下は、半導体圧力センサーの(非)直線性を評価する共通のテスト方法やその他のセンサーの(非)直線性を決定する評価方法を示したものです。

エンドポイント法
 最もダイレクトな(非)直線性の評価法は、エンドポイント法です。図1に示されている通り、無負荷の状態から定格圧力まで増加させた時、始点が出力ゼロからの直線に対しての最大誤差で評価します。(方程式1)通常この値は、フルスケールスパンのパーセント(%FSS)で表されます。
注意:定格圧力では、特定のセンサー出力は公称出力よりも上下にずれる事があります。

図1 エンドポイント法の(非)直線性は、単純な出力曲線のセンサーでは簡単に評価することができます。
Vo = Mx +b     ・・・方程式1
ただし、
V0 = センサー出力
M = エンドポイント直線の傾き
x = 与えられた点の測定値
b = ゼロオフセット
 
回帰直線法 (Best -Fit Straight Line Method : BSFL)
 BSFL法は出力曲線からの偏差を最小にします。図2に示されているように、BFSL直線(回帰直線)ではエンドポイントの半分ほどになります。(A = B)

図2 BSFL線(回帰直線)は出力値の分散を最小にします。

最小二乗法(最小二乗BSFL)
最小二乗法(方程式2)とは、実測値と推計値の間の誤差が最小になるようにしたもので、これは一番データに近い直線回帰であることが数学的にも証明されています。最小二乗法は異なった点の数を使用する事ができます。図3に示されているように、中央点での直線性誤差は、一般的にエンドポイントでの直線性誤差とは一緒にはなりません。
(A ≠ B)
    ・・・方程式2
ただし、
Xd = 既知の入力データ点
Yd = それぞれのXdデータ点における実際のセンサー出力
N = データ点の数

図3 最小二乗法は、実測値と推計値との誤差が最小になる計算法です。

正圧・負圧間の圧力差について
 メーカーは、通常センサーのフロントサイドでの直線性のテストを行います。しかし、いくつかの場合では、フロントサイドとバックサイドの両方が記載されています。ユーザーはこれらの値の違いに気づく必要があります。もしメーカーが片側のテストを行いユーザーが反対側を利用した場合、性能が全く異なる場合もあり得ます。感度に加えて、直線性は直接センサーの性能に影響を与えます。

裏面直線性(バックサイド直線性)
 厳しい環境下では、センサーの裏面(バックサイド)への加圧が、媒体への対応性を改善するための解決法となり得ます。流体や媒体がセンサーの裏面でも対応できる限り、より厳しい使用環境下でも使用が可能になります。前述のようにユーザーは、センサー裏面に加わる圧力の影響にも気づく必要があります。

正負圧直線性(LinFB)
正負直線性(LinFB)はフロントサイドのゲイン(スパンとして表されます)をバックサイドのゲインと比較します。方程式3はLinFBのための計算式です。
LinFB = { |SpanFront /SpanBack | -1} · 100% ・・・方程式3
ただし
スパンフロント: フロントサイドに加えられた圧力でのフルスケールスパン
スパンバック : バックサイドに加えられた圧力でのフルスケールスパン 
                                 
センサーに加えられる正負の圧力両方が必要となる使用には、LinFBは重要な性能要因となります。もし、正負の直線性が両方とも許容条件下にある場合、ユーザーは正負の圧力それぞれの較正を行う必要がありません。これはテスト時間を劇的に省略する事につながります。
 
正負直線性の値(フロントバック リニアリティ)
 正負直線性は、センサーメーカーがきちんとセンサー設計で考慮していない場合、大きくて 7~8% の違いがあり得ます。オールセンサーズでは、この正負直線性を改善する事を目的として CoBeam2 TM という技術で設計製造しています。この技術により、0.3~0.5%のLinFBが可能となりました。多くのユーザーにとって、これは正負直線性に関する精度的な懸念を排除するのに十分な値と言えるでしょう。
 実際CoBeam2 TMでは、正側直線性はより負側の直線性にぴったり一致しています。以前は、負側が3%以上だった一方で正側は0.5%という値でした。CoBeam2 TM技術によって両サイドの直線性が %FSS :0.3% よりも改善されています。これにより、ユーザーによる較正や性能評価が単純になりました。
CoBeam2 TM技術を使用した正負誤差低減は、センサーの設計以上に直線性やゲインの両方のパラメーターを最適化し、これら2つの誤差要因を劇的に減らしました。

結論
 圧力センサーメーカーは通常、センサーの仕様を満足させるため製造する全てのセンサー製品に共通する設計製造技術を持っており、過去の経験から数少ない検査テストでも、さまざまなスペック仕様を満たしている事を保証しています。
ただ顧客の技術部門の要求により、メーカーは直線性の表記方法を変えたり、又 顧客の注文によっては、全く違った検査テスト方法で対応する可能性があります。通常、メーカーでの検査テスト方法は、直線性の基礎的なデータを示してくれます。
 この標準的な直線性のデータやセンサーの性能に加え、半導体(MEMS)圧力センサーに関しては、ユーザー側は正負直線性やセンサー設計、センサー製造技術からの影響についても知っておく必要があるでしょう。

CoBeam2 TM はオールセンサーズの商標です。