医療向け圧力センサーの応用

“World Sensors Market in Healthcare Applications (2012-2017)”による報告書によると、ヘルスケアの応用分野でのセンサーの市場は2017年までに1700億円になると予測しています。これは温度測定や、化学物質、流体測定、レベル計測、位置・画像処理、バイオセンサーと同様に圧力センサーの用途も含んでいます。事実、低価格の半導体(MEMS)圧力センサーは、携帯用の健康管理装置(血圧計等)用として、その供給量は増加しています。2012年9月に市場調査会社HISによるMEMS市場の概要である“Applications for Medical MEMS Pressure Sensors,”によれば、圧力センサーの中でも半導体(MEMS)圧力センサーは、その主要なセンサーとなりつつあります。医療機器や健康管理装置の使用において、圧力センサーはさまざまな圧力測定に使われています。
 
病院や携帯用ベンチレーター
オールセンサーズは、過去10年以上世界中でベンチレーターや呼吸器向けの圧力センサーを提供してきました。オールセンサーズの圧力センサーは、集中治療室向けの装置・機器などに多数採用されています。例えば、ベンチレーターは重大な怪我や病気によって自然に呼吸ができない患者の呼吸をサポートしますが、空気と酸素の混合気は、患者の口や鼻から取り付けられた酸素チューブを通して患者の肺に届けられます。(図1)比較的低圧力(通常では10cmH2O /1KPa)で患者に空気を送る時、正しく肺が膨らんでいるかを監視しています。ベンチレーターは、一般的に命に関わる状況で重篤な患者に使用されます。医療機器が正常に機能し信頼できるものである事を保証するためには、ベンチレーターにも高品質の圧力センサー(トランスデューサー)が使用されることとなります。オールセンサーズの圧力センサーは、携帯用ベンチレーターと同様に病院内や幼児用のベンチレーターにも使われています。

図1 ベンチレーター用圧力センサーにおける部品とその位置
 
酸素濃縮と酸素治療
酸素濃縮は患者の酸素治療のために使われます。酸素治療は高レベルの酸素濃度を体内の主要組織や臓器に届ける治療法です。自然の大気よりも高酸素濃度を必要とする患者は、酸素濃縮器を使い高濃度酸素の空気を取り込みます。酸素濃縮器を必要とするいくつかの病気としては、ぜんそく、慢性気管支炎、貧血、肺水腫、うっ血性心不全などがあります。低差圧測定器の流量は、通常2~3kPAです。


図2 酸素濃縮器は流量と圧力検知の両方の圧力を測定しています。

酸素濃縮器は、高い精度と高い繰り返し性のある圧力センサーを必要とします。この市場は、医療機器用と自宅でも使用される携帯用機器の両方から成り立っています。酸素濃縮器は禁煙できない人々や、肺を損傷した患者などにも使われています。外科手術が行われた患者にも、手術前後で濃縮された酸素が必要となります。医療機器用圧力センサーは、患者に送られる酸素タンクのレベル(約2,000psi(136Bar)もしくはそれ以上)と酸素の流量(約4kPa)を監視しています。圧力センサーは、直接濃縮酸素(通常2 bar)を送る装置でも必要とされます。

新しい酸素療法の一つとして、高圧酸素療法(HBOT)が知られています。HBOTは、大気中よりも高く圧縮された酸素を送る事によって作られます。この治療法はハードシェル、ソフトシェルのいずれかを有する特別な密閉室内の患者におこなわれます。ソフトシェルの密閉室に患者がいる時は、4.4~7.3psiぐらいまで圧縮されています。HBOT療法は熱傷や動脈閉鎖、動脈ガス塞栓症(AGE)、一酸化炭素被毒、脳外傷,を伴ったガス壊疽、慢性疲労症候群、免疫機能不全やその他の病気の治療にも使われています。

睡眠時無呼吸症候群は、世界中で見られる病気です。睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まったり、呼吸が少なくなったりします。呼吸の中断は数秒から数分続きます。呼吸の中断によって深い眠りから軽い眠りへと睡眠パターンを崩し、患者は一日中不十分な休息のまま眠気や疲れを感じます。この病気は医者の診断によって発見されることは少ないため、通常患者のパートナーによって発見されます。年齢にかかわらず、睡眠時無呼吸症候群は様々な年齢層の人々がなる病気です。睡眠時無呼吸症候群をそのままにしておくと、高血圧や心臓発作、心不全、不整脈と言った病気になる可能性が高まります。

睡眠時無呼吸症候群は、CPAPとして知られる医療機器によって治療されます。図3にあるように、この機器は、患者の気道へ圧力をかける事によって機能し、睡眠中に空気を送るために患者には酸素マスクが取りつけられています。患者は寝る時は、常にこの機器を着用する必要があります。医療用圧力センサー(通常4kPa)は、患者に送られる空気圧を測定する為に使われます。


図3 睡眠時無呼吸症候群の治療には、圧力測定のための差圧センサーや低圧センサーが必要となります。
 
手術室とその他
圧力センサーはさまざまな医療用機器・装置に使われています。これらの機器の多くは、病院の手術室で医者の支援をし、ゲージ、もしくは差圧測定は流体やガス、送気空気量と同様に体積流量を計算するのに使われます。その他のモニタリングもしくはコントロールのために圧力測定を使用する医療用製品での例としては、薬配送システム、肺活量を測定するための肺活量測定機器、体内外、体外血圧、腹部手術中の胃腸(GI)内圧、目の手術後の治療、緑内障の治療のための眼内圧測定装置などがあります。図4は電気による薬デリバリーシステムや関連する圧力測定システムを示しています。
 
血圧は低血圧の患者は普通の人の血圧(120/80 mmHg)よりも低く90/60 mmHg、高血圧の患者はより高く140/90 mmHgとります。通常の血圧測定では、高い方の値をシストリックと呼び、低い方の値をディサトリックと呼びます。下表は、圧力センサーの主要な適用をまとめたものです。
 
測定)            タイプ      タイプ
気圧           絶対     760 Torr(101.3kPa)
体内血圧         絶対     80/120-mm (300 mm Hg, max)
体外血圧           ゲージ        80/120-mm (300 mm Hg, max)
眼球内圧力 (IOP)     ゲージ        15 mm Hg
真空 (光媒体)            ゲージ        760 から 25 Torr (100 から 3 kPa)
液体、気体流動        差圧           適用例による
薬配送(液体流動)    差圧           流動率 (0.5-10.0 microliters/min)
人工呼吸器(空気流動)    差圧       4 kPa
ベンチレーター (空気流動)  差圧         25 cm H20
肺活量計 (空気流動) 差圧   4 kPa
酸素濃縮      ゲージ  4 kPa
高圧酸素 (HBOT) ハード     ゲージ   87 psi (6 bar)
高圧酸素 (HBOT) ソフト       ゲージ   0.3 and 0.5 bar (4.4 and 7.3 psi)
酸素タンク                ゲージ   約 2,000 psi (136 bar)
睡眠時無呼吸症候群(CACP)  差圧          4 kPa